「忘れ物問い合わせの約1割がチャットボット経由になりました。現在のところ、電話のお問い合わせと比較するとそう多くはありませんが、ひとりのオペレーターが2件、慣れたオペレーターなら3件のチャット問い合わせに同時対応できるようになったので、想定以上の業務効率化が可能という確信が生まれました」 (山口氏)

チャットボットを足がかりにお客さま満足度の向上も実現

 今回のチャットボットは2018年1月までの試験導入だが、JR西日本ではチャットボットによる効果を改めて精査した上で、正式導入を前向きに検討する意向だという。業務効率化が実現できたことに加え、利用者からの評判も極めて良好ということが理由だ。

 「業務効率の効果を確認できましたが、さらに想定以上の効果として、お客さまの満足度が非常に高いことも分かったのです。チャット利用者に対してアンケートを実施した結果、約5割という非常に高い回答率に加え、アンケート結果も『とても良い』『良い』の評価が95%に上り、非常に高い評価をいただきました。テレビニュースをはじめ多くのメディアにも取り上げられ、社会的な反響もあったと考えています」 (山口氏)

 「さらにアクセシビリティ面において、電話によるお問い合わせが難しい身体の不自由なお客さまから『助かる』という声をいただいたのをはじめ、電車の中など電話が掛けられない状況でも、あるいは電話が面倒と感じている10~20代の若い世代のお客さまからも、『問い合わせがしやすかった』という反響をいただいており、潜在的なニーズを顕在化することもできたと感じています。今後はAIの活用を視野に入れながら、さらなるお客さま満足度の向上と業務効率の向上を目指したいと考えています」 (渡辺氏)

 また、チャットボットの開発にあたったKDDIに対する期待も大きい。

 「今回のチャットボット導入に際しては、KDDIに開発から運用までのすべてに携わっていただいたことで、当社のニーズに合ったオリジナルのシステムを実現してもらえました。今後も当社にとって本質的な課題解決につながるような支援をKDDIには期待しています」 (渡辺氏)