2012年に提唱されていた「SDN」(Software-Defined Network)というコンセプトが、2015年になって「SD-WAN」として注目されるようになった。その背景にあるのは、クラウドサービスの急速な普及とデジタルトランスフォーメーション(DX)の台頭である。

 クラウドサービスを中心にICTをうまく活用することでビジネスを大きく変革させる取り組みであるDXでは、「効率化」や「コスト削減」などを目的とした従来のICT活用とは異なり、“何をするべきか”という明確な正解がない。DXの実践においては、トライ&エラーを繰り返しながら正解へと近づくことが重要であり、小さくビジネスを始められる仕組みが必要となる。

 この度、KDDIはDXを実践する企業にそのような仕組みを提供するために、『KDDI SD-Network Platform』をリリースした。その全貌に迫る。

クラウドファーストの浸透によってネットワークへの期待が変化

 クラウドファーストという考えが当たり前となってきた昨今、これまで情報システム部門で検証していたOffice 365などのクラウドサービスを全社規模で運用する動きなどが加速しつつある。しかし、企業内でのクラウドサービスの本格的な利用は、ビジネスの成長や効率化に対する期待も大きい分だけ、配慮しなければならないポイントもある。KDDI株式会社 ソリューション事業企画本部 ネットワークサービス企画部の梶川 真宏部長は、そのポイントを次のように指摘する。

KDDI株式会社 ソリューション事業企画本部
ネットワークサービス企画部 梶川 真宏部長

 「例えば、これまで企業内ネットワークに閉じていたトラフィックがクラウドサービスに切り替えることで、インターネット上へ流れていきます。クラウドサービスも一つではなく複数のクラウドを利用することが当たり前になりつつある今、企業内ネットワークからインターネットへの出口となっているデータセンターやインターネット回線のトラフィックが飛躍的に増大します。業務やビジネスを支えるクラウドへのアクセスを安定的に維持できないことは企業にとって大きな問題となります」

 セキュリティ対策や企業内ネットワークのコンプライアンスを守るために、これまでインターネットへのアクセスを制限してきた企業は多い。しかし、クラウドと接続するネットワークのトラフィックが充分に確保できなくなると、コミュニケーションの停滞などからビジネスに影響を与える心配もある。

 こうした課題に対して、梶川氏は「従来型の企業ネットワークと比べてネットワークに期待される役割は変わりつつあります。オープンなインターネット上にあるクラウドを快適に利用することを主眼において、インターネットを含め、さまざまなアクセスを統合的に活用してパフォーマンスをあげることが必要になってきています。国内の企業はもちろんですが、グローバルにビジネスを展開している企業でも、クラウドサービスの活用をベースとしたビジネスを展開していくには、企業のネットワークトラフィックを柔軟かつ効率よくマネジメントするネットワークサービスが求められます。そのようなお客さまのニーズに応えるために、KDDIは『KDDI SD-Network Platform』の提供を開始しました」と語る。
 

重要なのは小さく早く導入しやすいこと

 『KDDI SD-Network Platform』の提供にあたっては、どうしたらお客さまが一番導入しやすいかということに主眼を置いた、と梶川氏は説明する。

 「クラウドの利用に最適化したネットワークへ変えていくために必要なファーストアクションは現在の利用状況を『可視化』するということです。今まで、各拠点のトラフィックの総量は把握していたとしても、アプリケーション単位での利用状況までを正確に把握している企業はわずかでした。