世界標準規格として制定されたLTE-Mは、既に海外でサービスが開始されているが、日本でも2018年1月よりKDDIが初の商用サービスを開始した。それが「KDDI IoT通信サービス LPWA(LTE-M)」である。
月額40円からのIoT通信サービスを国内初リリース
「『KDDI IoT通信サービス LPWA(LTE-M)』は、単3電池2本で10年稼働する『省電力』、非居住地や地下なども含めて今以上に広く届く『広域エリア』、月額40円からの『低コスト』という3つの特長を兼ね備えています」と原田氏は言う。
そうした特長を同社ではどのように実現したのだろうか。
まず「省電力」では2つの低消費電力技術に注目したい。1つは待受時の電波サーチの頻度を下げる「eDRX(extended Discontinuous Reception)」。もう1つは指定した期間の電波サーチを止める「PSM(Power Saving Mode)」だ。この2つの技術によって、単3電池2本で10年稼働する低消費電力を実現。電源のない環境でも電池駆動によって、さまざまな機器のIoT化が可能となり、適用シーンや柔軟性を格段に広げるのである。
次に「広域エリア」では、データを複数回再送することでIoTデバイスと基地局間のデータの送受信成功率を向上させる「カバレッジ拡張技術(Coverage Enhancement)」を適用。基地局から端末までの伝送距離を従来のLTEより5km以上延ばすことが可能となり、非居住地や地下駐車場、マンホールなどでもIoTの活用が可能になるという。
「低コスト」については、「LPWA10」、「LPWA100」、「LPWA500」という、データ容量に応じた専用料金プランを策定。LPWA10で契約回線数が500万回線超の場合、1回線あたり月額40円という破格のコストとなる。
こうした3つの特長に加え、KDDI IoTコネクト LPWA(LTE-M)では、回線(SIM)管理に必要な「SIM制御」や「SIM発注」、「各種ログ情報(トラフィック量、課金データ、回線状態一覧など)の提供」を、Web上のサービスポータルから利用可能。またKDDI独自の「SIMセキュリティ」や「インターネットVPN」機能をオプションサービスとして提供している点も大きなポイントだ。
「あらゆるモノがインターネットにつながるIoTでは、どうしても脆弱性を抱えたIoTデバイスがサイバー攻撃で悪用されたり、情報が流出したりするリスクが発生します。そこで、お客さまサーバと機器間を閉域網で接続する『インターネットVPN』と、暗号鍵で不正アクセスを防止する『SIMセキュリティ』を独自に提供し、お客さまが安心してIoTビジネスを展開していただけるようにしました」と原田氏は説明する。
KDDIが提供するのはこれだけでない。増え続けるIoTデバイスを容易に遠隔管理できるよう、通信サービスにあわせて「KDDI IoTクラウド デバイス管理」の提供も開始した。これはIoTデバイス管理プロトコルの世界標準「OMA Lightweight M2M」に、KDDI独自の機能をアドオンしたもの。顧客ニーズにきめ細かく対応した機能が作り込まれている。
例えば「デバイス状態管理」では、IoT機器ごとのバッテリー残量や電波受信状態を見える化するほか、設定した閾値をキーとして、アラーム通知を受け取れる。また「デバイス遠隔設定」では、省電力モードの設定変更や通信間隔の値をリモートで簡単に行うことができる。ネットワークの混雑状態を自動判断し、最適なタイミングで「ファームウェア更新」ができる機能も用意した。